発熱と熱型表

お子さんが、38度以上の発熱をだすと心配なものですね。「さっきまで元気だったのに！」「何が起こっているの？」と驚くのは当然です。ここでは発熱について説明をします。

【発熱の意味は？】
まず体温は、頭のなかにある体温調節中枢によって調節されています。

体に侵入した病原菌や、白血球が出す物質によって、頭の中にプロスタグランジンが作用し、体温調節中枢が発熱をだす命令をしています。

では、なぜ発熱をするのでしょうか？

これはすべてわかっているわけでありませんが、どうも動物に病原菌を感染させた場合、発熱しないように処置をすると、死亡率が高くなるようです。つまり感染による発熱は、「病原菌から体を守る防御反応の一つ」と考えられます。

熱が出ることで、病原菌が増えない温度にすることや、病原菌に負けないようにエネルギーを作ったり、白血球を増やして免疫を強くしたり、神経内分泌に作用して体を強く反応するようにしています。

【高熱だから重症というわけではない】
発熱は病原菌に対する体の反応ではありますが、高熱だから治りが悪い病気というわけではありません。

参考までに、夏かぜの発熱の経過を２つ示しました。

手足口病の熱型表をご覧ください。確かに40度の高熱がありますが、すぐに下がっています。2日間乗り切れば、大丈夫ですね。

アデノウイルスでは、高熱が4日間もみられます。はじめは元気でしたが、その後、喉が痛くて、食欲が減少し、水分をとることがつらい状況でした。

いずれも自然と熱が下がるウイルス感染なので、解熱剤を使用しながら、辛抱強くみていきます。重症とは熱が高いというよりも、熱によって体力が奪われたり、食事がとれない、体がきついといった他の症状がでてくることが重要です。

【熱型表について】
「発熱がいつ下がるのか？」「悪い病気ではないのか？」と心配であることには間違いありません。私たちも熱が下がるまでしっかりみていくことを、お勧めしています。

その時に熱型表を書いていただくと、大変参考になります。ご家族には、体温を測った時間と、体温を記載していただきたいと思います。

・いつから発熱がでて、一日の中で発熱の変化はあるのか？
・解熱剤で下がるか、もしくは自然に下がることがあるのか？
・高熱の経過がどうなのか？

このようなことをみて、重症度を判断することができます。お子さんの検査を進めるきっかけになったり、「大丈夫だよ」と安心できる材料にもなります。

かすがの杜こどもクリニックでは、熱型表をお渡しいたしますが、手元にない場合はインターネットでもフリー材料がありますので、是非、利用していただきたいと思います。