名前のように可愛くない、おたふくかぜ

おたふくかぜは、正式には流行性耳下腺炎といいます。ムンプスウイルスによる感染症で、全身にウイルスは感染しますが、口の周りの唾液腺(耳下腺)が腫れて「おたふくの顔」のようになる特徴があります。

2~3週間の潜伏期のあと発症し、耳下腺腫脹や発熱、頭痛、嘔吐などの症状を伴います。両方の耳下腺が腫れることが多いのですが、片方ずつ時間差で腫れる場合もあります。また発熱や耳下腺腫脹もなく、気づかないうちに感染していることが30~40%もあります。症状は普通1~6日間で消失します。

合併症には注意です。頭痛や高熱が続く際は。ウイルス性髄膜炎や脳炎の可能性があります。また睾丸や卵巣の炎症で、腹痛を認める場合もあります。不妊症の原因にもなるため注意です。そのほか腹痛が強い場合は膵炎の可能性もあります。さらに難聴を合併することがあり、症状は2週間以内に認めます。

診断は、発熱や耳下腺腫脹などの症状をみて判断することが一般的です。また尿中アミラーゼを追加して確定診断する場合もあります。迅速検査はありませんが、血液検査でムンプスウイルスに対する特異的な免疫グロブリンを測定することで診断する場合もあります。

治療は主に症状に対する治療で、安静や消化の良い食事、水分補給を勧めます。発熱、疼痛に対しては解熱鎮痛剤を使用します。ウイルス性髄膜炎や睾丸炎などの時には、入院加療を行う場合があります。
なおムンプスウイルスには、予防接種があります。任意予防接種のため、みんなが接種しないワクチンですが、唯一の治療薬であり合併症も予防できますのでお勧めします。

同じように耳下腺が腫れる病気で、反復性耳下腺炎という、違うウイルスが原因の病気もあります。その場合は発熱がないことが多いため、診察や検査で診断します。

・流行性耳下腺炎には、以下の対応が必要です。

1.水分補給を行い、すっぱいもの、からいものなど刺激の多いもの、またよく噛まなくてはいけない硬いものは避けましょう。

2.発熱や頭痛が強い場合には、ウイルス性髄膜炎など合併症の可能性があります。お腹や睾丸を痛がる場合は、睾丸炎や膵炎の可能性があります。お医者さんに相談してください。

3.難聴の合併症は、発症してから2週間程度から見られます。耳の聞こえが気になる場合は、お医者さんに相談してください。

4.登校・登園の基準は、耳下腺が腫れてから5日間経過し、また熱が下がって元気になってから登校をします。