赤ちゃんには注意の百日咳
百日咳は文字通り、4週間以上長引く咳で名づけられた呼吸器の感染症です。原因は、主に百日咳菌で、一部はパラ百日咳菌です。独特の「咳発作」を特徴とします。胎児期に母親からの免疫が十分でない赤ちゃんが、乳児期早期から罹患すると呼吸困難から命の危険がある病気です。
はじめの症状は普通の風邪とかわりませんが、次第に咳が強くなり、顔を真っ赤にしてせき込むようになります。強いせき込みをスタッカート、その後に息を吸う笛が鳴るような呼吸をウープと呼び、特徴的な咳になります。発症して1~2週間が咳が強く、3~4週間で少しずつ軽くなります。乳児では息ができなくなり、入院することが多いです。
乳児では重症になるため、生後3か月から4種混合ワクチンに含まれる「百日咳ワクチン」は予防に重要です。しかし4~5歳ころからワクチンの効果が落ちて、かかってしまうことがあります。大人も同じなので、赤ちゃんのいるご家庭で、家族内に咳が流行している場合にはお医者さんに相談してください。
検査は、細菌迅速検査が可能になりました。また遺伝子検査でも診断ができます。しかし主な症状が、長引く咳だけであり、血液検査を行ってもリンパ球(白血球のなかま)が多い程度なので、よほど疑わない限り検査に至らないことも多いのです。
治療は、早期には抗生剤が百日咳菌に効果があります。しかし咳は百日咳毒素が原因と考えられているため、長引く咳には、咳を押さえる薬剤で対処していきます。息が苦しい症状があれば、全身状態を管理できる施設に紹介します。
・百日咳には、以下の対応が必要です。
1.生後3か月から4種混合ワクチンを接種しましょう。
2.家族やこどもの長引く咳の時には、お医者さんに相談してください。
3.赤ちゃんが咳込みが強くて吐くときには、1回で飲む量を少なくし、回数を増やしてください。顔色が悪くなる様子があれば、お医者さんに教えてあげてください。
4.通学や登園は、特有の咳がなくなるか、抗生剤治療が5日間終了するまでは控えてください。