オットセイの鳴き声のようです~クループ症候群

こどもが夜中にせき込み始め、咳の音がオットセイのように「ウォウォッ」「ゴーゴー」と変化してくるため、夜間外来を受診される方はしばしばあります。このような咳を「犬吠様咳嗽(けんばいようがいそう)」といいます。喉頭周辺(のどの声帯近く)の粘膜が腫れることで、気道が狭くなってこのような咳をする病態を、クループ症候群といいます。

原因は、パラインフルエンザ、インフルエンザ、RSウイルスといった風邪のウイルスが最も多く、犬吠様咳嗽だけでなく、声がれや、ときに呼吸困難も認めます。夜中に咳で眠れないことがあります。一方でHib(インフルエンザ菌)細菌感染症の場合は、喉頭蓋という部分が腫れる急性喉頭蓋炎(きゅうせいこうとうがいえん)となり、呼吸困難が急激に進行し、危険な状態になることもあります。犬吠様咳嗽にのどの痛み、発熱がある場合は急性喉頭蓋炎も考えられるため、お医者さんに相談してください。

治療は、エピネフリンなどの吸入療法で粘膜の腫れを改善させます。息が苦しい場合には、酸素吸入が必要なため入院を勧める場合があります。ステロイド内服も粘膜の腫れを改善させる方法です。

・クループ症候群には、以下の対応が必要です。

1.咳込んでいるときには、咳止めや少しずつ温かい飲み物を与えてください。息苦しさがなくなってから、食べ物をあげましょう。

2.息が苦しそうなとき、咳で夜眠れないとき、水分が取れないとき、発熱のあるときは、お医者さんに相談してください。

3.咳が改善し、全身状態がよくなってから、登園、登校をしてください。