小児腎臓病の杜 No.6~早産児はナトリウム不足に陥る
在胎週数28週未満で出生した早産児に、低ナトリウム血症を伴うことがしばしばあります。低ナトリウム血症をそのままにすると、血圧が下がったり、成長不足が生じます。今回、早産児でのナトリウムの研究が報告されていました。(Pediatric Nephrology volume 36, pages3693–3698, 2021)
在胎22週~23週で出生した早産児を、10週間調査されていました。ナトリウム摂取が出生後2週目には5.2 ± 0.4 mEq/kg/day、8週目には7.9 ± 0.5 mEq/kg/dayでしたが、尿から失われる量も2週目7.7 ± 1.0、8週目6.9 ± 0.7 mEq/kg/dayと多いことがわかりました。
ナトリウムのバランスは、生後6週目で喪失量に比べて摂取量が多くなりましたが、10週目までは1.4 mEq/kg/day を超えず、さほどは多くはなりませんでした。
つまり在胎22週~23週で出生した早産児は、長くナトリウム喪失が続くため、ナトリウムの補充をしっかりしなければいけません。
日本では早産児の救命率は向上し、小さく産まれても普通通りに育っていくようになりました。しかしお母さんのお腹の中で育つはずの腎臓など臓器に支障がでるため、医療者は早く生まれるリスクを十分理解して対応しないといけないことが、この論文からわかりますね。